新井素子の「ハッピー・バースディ」

 2時間くらいであっさりと読んでしまった。新井素子女史は一人称文体のSF作家だが、この作品はSFではない。ジャンルで言えば、サイコホラーってなところか。
 この本をいちばんおすすめしたいのは新井素子ファン(彼女の文体に慣れている人)で、かつ「おしまいの日」という彼女の作品が好きな方。
 新井素子ファンで「おしまいの日」があまり好きでない人は、「おしまいの日」みたいな話でも良ければどうぞ。
 新井素子も「おしまいの日」も知らないという人は、あなたがサイコホラー好きなら読んでみるのもいいかも。文体に癖はあるが、それさえ大丈夫なら。でも、この本は新井素子の全てではありませんので。
 新井素子も知らないし、サイコホラーも好きではないという方にはおすすめできない。新井素子はこの本が初めて、というのもサイコホラーはこの本が初めて、というのも、あまり良くないと思うので。
 話の流れは、ラブラブ→ストーカー→逆襲→癒し→サイコホラーみたいな。
 癒しで止めておきたい人は「ENDING」の「あきら」の章を読まないこと。ハッピーエンドを望む人も同様。
 最後に、この話が3年以内にNHK−FMでラジオドラマ化される率は75%、その場合、谷山浩子嬢が主人公を演じる確率は65%ってな感じだ。