BS冬休みアニメ特選「雲のように 風のように」

 やってくれるぜ、NHK。大晦日に良い選択をしてくれた。さりげなく紅白歌合戦の裏で教育テレビで十二国記の特別編を流すセンスにも脱帽だが。
 さて、「雲のように風のように」原作は酒見賢一氏の「後宮小説」。氏のデビュー作であり、第1回日本ファンタジーノベル大賞受賞作品。当時からファンタジー好きであった自分(といってもかじったのはギリシア神話北欧神話ドラクエD&Dくらいだった。確か角川スニーカー文庫富士見ファンタジア文庫の黎明期ぐらいだったような)は、この日本ファンタジーノベル大賞をどんな作品が取るのかと楽しみにしていた記憶がある。
 アニメ「雲のように風のように」は1990年、日テレで放映された。リアルタイムで見て、すごい面白かったので、原作「後宮小説」を読んだのだが、中〜高生の自分には、いろんな意味で難しかった。っていうか、あの原作をはしょりまくりとはいえ、子どもでも面白さが分かるように作ったアニメはすごいと思うよ。作画監督スタジオジブリの流れを汲む人だから、絵柄も一般に親しみやすいしね。主役級の声優をもうちょっと選んでくれれば文句なしの名作になっただろうに……。
 本放送から10年以上経過して、今日改めて見たのだが、やはり面白いね。今回は、本放送の時には気づかなかった微妙な表現にも普通に気がつけたし、本放送の時は、壮大で痛快な物語だなあ、としか思わなかったのだが、今回はラストシーン辺りでのヒロイン銀河と皇帝のやり取りのシーンを見て、ちょっと涙ぐんでしまった。ラブストーリーでもあったんだよなと今さらながら思ったり。

 自分が書く物語の中で、東洋風ファンタジー、というのがあるが、その発想の元は今までは荻原規子女史の「空色勾玉」シリーズだと思っていた。この「雲のように風のように」と原作である「後宮小説」にも影響を受けていたんだなと改めて気がついた、2003年の大晦日であった。