自作品あとがき
公式サイトでも紹介されている「あとがきテンプレ」(ブログ「朽薔薇の残り香」による)を使用しました。
■作品の番号&アドレス:B-03 http://fukumennkikaku.web.fc2.com/b003.htm
■作品タイトル:星の河をわたる風
■ジャンル:スチームパンク的世界観の異世界ファンタジー
■作者:広河陽(ひろかわ・よう)
■サイトタイトル&アドレス
ふみかばんのほーむ http://homepage1.nifty.com/fumikaban/
■あらすじ
ミオは間もなく風乗りをやめる。あの時まではそのことになんの疑問もなかったのだが。
■作品の発想、思いついたきっかけなど
ある空港で天候不良のために飛行機の中で閉じ込められた数時間でプロットを書きました。「飛行機よ、早く動け!」という心の叫びから風乗り(かざのり)という職業が浮かび、サン=テグジュペリや宮崎駿的な要素を加えて風乗りの設定を作りました。(推理・感想を拝見しましたが、「ナウシカ」「メーヴェ」などのイメージを嗅ぎ取った方は鋭いです!)
舞台はパリのイメージ、翠河→セーヌ河、月かけの塔→エッフェル塔です。夜、セーヌ河の船下りを体験した時に「この場面で女性を口説いたらおとせるだろう」と邪な思いを抱いたのがストーリーの着想です。
結婚間近の女性と既婚男性というすんなりいかない人物設定は、フランスの気だるげさが反映したのではないかと思います。
その後、覆面作家企画を知り、星をテーマにストーリーを練り直しました。
執筆中のBGMは、プロット作成時は閉じ込められた飛行機の音楽プログラムに入っていた「Coco d'Or」。締め切り間際の推敲時は「樹海の糸」をヘビーローテーションしていました。
■ストーリーの構築において特に気を使った点などを教えて下さい。
プロットが先だったので、テーマ「星」の練り込みに気を遣いました。
最初は、星の消化の仕方が夜間飛行の描写だけでかなり無理があったのですが、あるエピソードを削って変えたおかげでなんとか消化できたと思います(後述)。
締め切り間際に、滑空艇の設定にちょっとリアリティを持たせようと操縦や修理の描写を入れましたが、もしかしてその辺りでいつもの文体を色濃く出してしまったかもしれません。
■削ったエピソードなどありましたらどうぞ。裏話歓迎です。
プロット段階では、風乗りをやめる習わしは「子どもができたら」という設定で、オチが「風乗りをやめて結婚したが子どもに恵まれなかった」=「風乗りに未練がある」でした。
これだと救いがないので、ストレートに「結婚」にして、ミオの未練を星に絡めて表現したらテーマも取り入れることができました。
その代わり、プロット段階ではシロウに娘がいたのですが、最終的に子どもなしの設定になりました。
■その作品の続編または長編化のご予定は?
もう少し書き足したいとは思いますが、長編とよべる長さまでは至らないでしょう。
■その作品で気に入っている箇所はどこですか?
飲み関連ばかりですが、ヨモギ茶と霜葡萄酒の設定。
霜葡萄酒はアイスワインとして実在します。ドイツのワイナリーで飲んでかなり美味しかったのでどうしても書きたかったのです。
最初は霜葡萄酒の設定だけがあり、しかも風乗りが仕事を受けてすぐに飲む設定でしたが、「仕事の前に深酒はできないよね」と昨今の社会情勢を考慮して思い直し、ボトルを入れることにして、茶をふるまう設定を加えました。
ヨモギ茶はプロット段階ではただの風媒花でしたが、その後資料を調べて、飲めそうな風媒花で話に馴染むものとしてヨモギにしました。本当は漢字で「蓬」にしたかったのですが、ルビのふり方で特定されそうだったのでカタカナ表記に。
■推理期間中、褒められた点は?
「過不足なく話が成立している」という感想をいただき、とても嬉しかったです。
■推理されてみて、どうでしたか?
推理の中で「この話を書いたのは茅さん」と書いてあるのを多く見かけたような印象があり、茅さんにかなり親近感を持ちました。
■推理してみて、どうでしたか?
当てようとすると難しいのですが、楽しみを増やそうと思ってすると本当に楽しいですね。
HブロックのKimyさんには良い意味で盛大に裏をかかれました。もう一度、全作品を読み直します。
■推理をかわすための策は用意しましたか?
英数字の書き方。前回の反省から、いつもは全角を使うのですが、今回は意図的に半角を使ってみました
物語の後にいつも「了」等と書くところを今回は省きました。本当なら「――Fin.」をつけたかったですね、発想原点フランスな作品なので。
■この企画に参加して、改めて気づいたことはありますか?
左馬氏の推理にドキリとさせられました。
「登場人物を2人に制限したり、その2人の名前の出現頻度」
以上、抜粋はカフェω・備忘録■Bブロック作品の推理より
鋭い、そのとおり!
「恋愛よりは愛情を書く人、と言うイメージが。」
以上、抜粋はunknown region - 覆面作家企画2 Bブロックの感想+推理より
自分の書く恋愛物が何か恋愛物とはちがうような気がしていたのですが、この一言でスッキリしました。
■参加作品の中で印象深い作品をあげてください。
Bより「星を握る」 普段は読まないジャンルなのですが、最後まで興味深く読みました。
Cより「流れ星との待ち合わせ」 天空職の設定が見事。
Dより「砂糖星」 ストーリーはもちろん、やさしい感じのする文体が良かったです。
Eより「レディ・ホログラムの歌声は」 かなり完成度が高い上に、非常に自分の好みです。
Fより「流星の夜、金の風吹く」 続きが気になった話でした。
Gより「花に星」 こちらも続きが気になります。
Gより「峠の我が家」 SF者としてたまりません。
Hより「星摘み」 外出先で読んでいたのですが、涙を浮かべてしまいました。
Hより「吸血鬼、1280円。」 とにかく楽しく面白かったです。
■読み手さんに一言。
「星の河をわたる風」をご覧いただき、また、あとがきまで目を通していただき本当にありがとうございました。
なお現在、同じ「覆面」というコンセプトのオンライン小説企画として第4回WanNe短編コンテストにも参加していますので、こちらもよろしくお願いします。
■他の参加者さんに一言。
いやー楽しかったですね〜! 今まで正体をばらしたくってウズウズしていたと思います。お疲れさまでした。
■企画者さんに一言。
また「覆面」を楽しむことができて嬉しかったです。
本当にお世話になりました、ありがとうございました。
以上はテンプレートで、以下は付け足しになります。
「星の河をわたる風」を気に入って下さった方への、現在、当サイト「ふみかばんのほーむ」の収録作品のご案内です。
作品の世界観を気に入って下さった方には、短編「魔法使いの卵」をおすすめします。
SFファンタジーがお好きな方には、少し長くなりますが「砂漠の花嫁」をおすすめします。
また、ミオとシロウのような関係の人物の話が読みたい方には少しSF寄りになりますが「遥かなる海に花束を」をおすすめします。
もし、この覆面作家企画を機に広河陽が書いたものを少しまとめて読んでみようかと思っていただけた方には、手始めに近未来SF「エンジェル・フィールド」からはじまる「SF連作シリーズ<五衛星都市物語>」をおすすめします。
また、年内中に異世界ファンタジー長編「竜の歌がきこえる」をサイトで公開する予定ですので、機会がありましたらこちらもよろしくお願いいたします。