イベントでの宣伝ポップ用あおり文を考えてみた。

「残された道は玉の輿か……」
 他人の目もないのに、意識的に口の端を歪めて自嘲の表情を作ってみる。


理想をつらぬく手段として、彼女は愛のない結婚を選択した。


 少年の服についた砂を軽く払ってやる。服の素材感に、不機嫌さをあらわにして舌打ちした。
「防護服が薄すぎる。……ったく、こんな服を着せて砂漠に放り出すなんて親は何を考えてるんだ」


式を来月にひかえた彼女が、

砂漠で少年を拾ったことから物語は始まる。


「あの子は危険かもしれない。絶対に何かあるぞ。重要な秘匿事項があの子にはあるんだ」


少年に必要なのは、彼の境遇に共感できる誰か。

義務ではなく、同情でもなく、共感でつながる仲間。


「ぼくの人生を簡単に否定しないでよ」


彼女が最後に選んだのは――


2004年2月コミティア新刊 近未来SFファンタジー短編小説「砂漠の花嫁」



<解説>
 本文引用とあおり文を交互に入れてみた。
 映画の予告編のイメージ
 「残された道は……」「防護服が……」:彼女=アカリのセリフ
 「あの子は……」:砂嫁4000字版には出てこない登場人物ヒロムのセリフ
 「ぼくの人生を……」:少年=ワタル(砂嫁4000字版では「マモル」)のセリフ
 砂嫁4000字版に比べて圧倒的に深刻そうだ。

 ちなみに構成組み換え版のファイルには「砂嫁<ふっきり版>」という名前をつけて組み替え前と区別していたりする。
 で、ひととおり通して読みながら加筆してみた。原稿用紙換算で55枚になった。明日は本格的に推敲作業だ。